浜松駅で袴田巌さん、見~っけた!

袴田家物語

2017年02月02日 22:54

遠鉄デパート6階ロビーで友達とコーヒーを飲みながら駅を眺めていると・・・

あれっ、あの歩く姿は袴田巌さんだ

きっといつもの店に行くのですね

追いかけよ~っと

「イワオさ~~ん、こんにちは~」

「あ~」

といいながら、菓子パンの棚をのぞき込む巌さん。糖尿病あるからなぁ・・・。

「イワオさん、イワオさん、隣の店に美味しそうなのありますよ。行ってみませんか」

「え、隣?」

「こっち、こっち」

・・・とお誘いして


めでたくご着席。 いや~初めてですね、二人でって

巌さんはザル蕎麦と小丼のセット、私は磯おろし蕎麦(さっき友達と昼ごはん食べたばっかりだけど・・私の胃よガンバレ)。
磯おろしの海老の天ぷらは巌さんに。 

「イワオさん、マニラに行かれたことあるんですか?」

「うん、マニラね。行ったね。ボクシングの試合があってね、〇〇(私が名前を忘れた)とやったんだね・・・」

・・・っとボクシングの話が続き・・・

「イワオさん、秀子姉さんのお誕生日わかりますか」

「えっ、誕生日?知らんなぁ」

「もうすぐですよ。お誕生日に何かプレゼントしますか」

「プレゼントねぇ。何がいいだろうかねぇ」

「ピンクのセーターなどいかがでしょう。秀子さん、ピンクお好きですよね」

「あ~セーターねぇ。ピンクねぇ・・・ふふふ」

・・・・・っとプレゼントの話になり・・・

「車は運転されたことありますか」

「車ねぇ・・車は運転しちゃいけないことになってるんだね。仕事で九州に行かなくちゃならないんだが、車で行ったら3時間くらいかかるかな」

「九州ですか。10時間くらいかかりますね」

「え、そんなにかかるのかぁ」

「大丈夫です。私が運転しますよ」

「車で自分で行けたら楽しいだろうね。日本全国、好きなとこに行けたら愉快だろうね」

「そうですね、楽しいですよね」

「生きてるってことは、楽しいことがなくっちゃ、しょんないからね。人間は楽しいことがないとね」

「そうですよね。楽しいことないとね。楽しくしましょう」

・・・・・っと、時に声をたてて笑われ、楽しいランチタイムとなりました
巌さんの笑い声を聞いたのは初めてです。

能面のように無表情だった巌さんは、人間に絶望されていたのではないかと思います。

無実の罪で囚われ48年間の獄中生活、内33年間も死刑囚として毎日毎日刑の執行におびえながら、やり場のない怒りに火だるまのようになっていただろう途方もない年月の重さを、袴田巌という紳士は黙して語っています。

なんとか、すこしでも人間の信頼回復できないだろうか・・・

祈るような気持ちでそう思っています。

今日は、風の強い日でした。

「私、車で来ているので、車で帰りますが、イワオさんはどうされますか。歩きに行かれますか」

「そうだねぇ。風が強いからねぇ。乗っけてってもらおうかな」

ビックリしました!えっ、私の車に乗られる?

私は、巌さんと直接お会いしてからまだ1ヶ月しか経っていません。

秀子ファンになった私は姉さんにお会いしたくて頻繁にお宅にお邪魔していたのですが・・
少しは気を許してくださったのかな・・。

遠鉄デパートまでご一緒に歩き、車で無事に秀子姉さんの待つご自宅にお送りしました。

途中、「袴田巌さんですか。大変なご苦労されましたね・・」などと(私に)声を掛けて下さる方が何人かおられました。みなさんの温かいお気持ちを強く感じました。

どうか皆さま、再審が開始され無罪判決がでて巌さんの名誉が回復されるまで、応援してください。







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