袴田家物語

日本弁護士連合会再審法改正全国キャラバン
静岡県弁護士会主催の判決報告集会へ巖さんをお連れしました。
みなさんに祝福されて、再審無罪になったことを実感されますように・・と願い。

以下、ドキュメントです。

出発前は行けるかどうか全くわからない、なぜなら起床時間もまちまちの巖さん、何時に出発できるかわからないし、お誘いしても「行かない！」と言われればそれまで・・

10時頃、どうかなぁ・・と袴田家をのぞくと・・

おーー朝ご飯も済んで・・
「耳毛切ってるんだよー」と、ひで子姉さん。巖さんのこと、かまいたくて仕方ない


「イワオさん、出かけましょうよ～」　あっさり話に乗ってくださり出発できたことに私が驚きました。

車中、女ふたりのたわいもない話を聞かされても（聞いてる？）涼しい顔の巖さん。
賑やかで案外いいかもしれません。

日本坂SAでランチしていると・・「よかったですね～」の声声。


あれ、巖さんがニンマリ。妄想と思うのですが・・気分よさそうでホッ


腹ごしらえもし、めでたく会場に到着です。
「イワオさんが勝ったお祝いです。ご挨拶お願いします」と耳打ちしました。

そして壇上に上がってマイクを渡されると・・

「私が袴田巖でございます。無罪勝利という待ち切れない言葉でありましたが、無罪勝利が完全になりました。最後の最後まで闘うと、闘うしかないということでございました。事件がない無罪から、ついに完全に全部勝ったということで、今日はめでたく皆さんの前に出てきたということでございます」

ここで、ひで子姉さんが「みなさんにありがとうって言いな・・言える？」と優しくいうも・・

「有罪にしようということだったんだが、なかなか数字が（？）なかった・・これまで勘定したが無罪勝利の数字ってものが・・・（てらいさしてく？）
えーこがね味噌事件ということでございますが、こがね味噌事件で無罪勝利ということで、検察も認めたということでございました。えーこれからの闘いにおいては政治的に社会的に地位を守っていく、これが根本的なもんでございます。これが、えーどこまで闘い勝てるかということでございますが、えーよろしくお願いいたします。ソンケイテンサイテンサイ（尊敬天才天才〈天災？〉）、ソンケイテンサイテンサイ、ソンケイテンサイテンサイ」（？は筆者、聞き取り不確実なところ）


ここでまた、ひで子姉さんに促され・・「ありがとうございました」で、終わりましたが、その声は力強いものでした。

しかし、事前に準備していたわけでもないのに、マイクを渡されると淀みなく話し始める巖さんには驚きです。
長い間巖さんの頭の中に蓄積されていた認識見解が、新たに聞こえてきた再審無罪と合流したように見えました。

再審無罪判決を勝ち取ったこと、巖さんが＜どれくらい＞＜どのように＞理解しているのかは全くわかりません。
「ソンケイ　テンサイ　テンサイ」は、釈放当時から唱えていた言葉です。
が、最後に聞いたのはいつだったか・・今日また出てきたことはショックでした。

帰宅後は、妄想の世界に入り込み、奇怪なことも言われました。

58年の傷は途方もなく深い・・。