「福岡事件がわかる会」開催のお知らせ

袴田家物語

2025年05月14日 23:59

「わかる会」の名で皆さまに親しんでいただきました「袴田事件がわかる会」は、巖さんの再審無罪が実現し、去年の12月惜しまれながら幕を閉じました。

私たち主催者も8年間毎月開催してきた「わかる会」がなくなり寂しい思いでおりました・・

が!

なんと!

新星「わかる会」が登場したのです

「袴田事件がわかる会」では日本の刑事司法の闇に鋭く切り込む講義で毎回好評を博した刑法学者・宮本弘典先生の「福岡事件がわかる会」です!

みなさま、お見逃しなく! 


コチラでもご覧いただけます→https://peatix.com/group/16450203

以下に主催者によるご案内です↓
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連続講座「冤罪・福岡事件がわかる会」のご案内
 
2025年度(2025年4月~2026年3月)
   日時:奇数月(5月 7月 9月 11月 1月 3月)の最終土曜日 14:00~16:00
   場所:関東学院大学 横浜関内キャンパス 16F 1613教室
                    (1Fの受付で入構証を受取ってください)
謹啓
 青葉が目に鮮やかな季節となり,皆さまには益々ご清祥のことと拝察申し上げます。

 免田,財田川,松山,島田の4件の死刑再審無罪に続いて,昨年9月26日には,袴田巌さんが再審無罪判決を獲得しました。5件目の死刑再審無罪判決です。

しかし,まさしく生命の壁によって生きて雪冤するという宿願を果たせなかった死刑囚もいます―本年の3月には,確定審は無期懲役ながら第1審では死刑判決を受けた狭山事件の石川さんも不帰の人となりました。帝銀事件,三鷹事件,名張事件の死刑囚は病による獄死ですが,福岡事件,菊池事件,飯塚事件など(大逆事件も)は刑死によって雪冤の道を断たれました。
 
 冤罪誤判事件にはそれぞれに特有の事情も介在しますが,共通する構造的な原因も指摘されます。
袴田事件で指摘された捜査機関による「証拠の捏造」も,特異ではあれ,菊池事件や飯塚事件(狭山事件も)とも共通します。そして何より,捜査(取調べ)における自白を中心とする―虚偽の―供述採取,公判における―特に供述「調書」に対する―あまりに緩やかな証拠制限及び証拠評価,また事実認定の厳格性の欠如等々,実は冤罪誤判の構造的な原因はニホン刑事司法に通底する克服課題でもあります。
冤罪誤判事件の検討は,再審法制の課題にとどまらず,ニホン刑事司法の改革課題に及ぶということです。

 福岡事件の発生は1947年で,その裁判手続は敗戦前の旧刑事訴訟法に基づくものでした。共犯者自白(調書)を読み上げては―被告人の抗弁を許すことなく―事実を認定するというやり方で,江戸時代のお白州や治安維持法裁判の再現でした。福岡事件は,無辜に対する死刑判決という「誤判」に加えて,―菊池事件と同様に―憲法に反する手続による判決という点でも,再審による是正が求められています。その是正は司法の義務というべきでしょう。

 福岡事件の死刑囚・西武雄の死刑執行は1975年6月17日でした。その執行にいたる経緯も,当時の執行慣行とは異なる執行態様も,実に奇怪で不可解なものでした。西の有名な獄中句があります。西のこの思いが国や社会に届くことはありませんでした。

   叫びたし 寒満月の われるほど / 誤判 わが怒りを天に 雪つぶて

 拘置所で西の遺骨を受取り,「西さんの何と軽いことよ」と落涙し,「国はむごいことをする」と慨嘆したのは,西の教誨も担当した死刑囚教誨師・古川泰龍でした。今日私たちが福岡事件の真実と西武雄の「遺言」ともいうべき雪冤を求める無実の叫びを知ることができるのは,古川の生涯をかけた運動と,古川の遺志を継ぐ古川家の人びとの運動によります。古川の思いは私たちの胸を打ちます。

  私はわらじがぬがれない。……たった一人の命すら守れない世の中を,私は信じることができない。無実で死刑にならない世の中を,私は信じたい,証明したい。でなければ,私は救われない。生きられない。私はわらじがぬがれない。

 今年は西の刑死から50年の年に当たります。私たちも古川泰龍とその家族の人びととともに,福岡事件の真実と西武雄の叫びを語り継ぎ,考え続けたいと思います。それは同時にニホン刑事司法の「罪と罰」の省察でもあるからです。

皆様のご支援をお願い申し上げます。

敬具

2025年5月 「冤罪・福岡事件がわかる会」事務局



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