2021年04月18日

第42回「袴田事件がわかる会」続報 中日新聞にも掲載

昨日の「袴田事件がわかる会」のことが、中日新聞朝刊(静岡版)と静岡新聞に掲載されました。

中日新聞朝刊はコチラ↓
第42回「袴田事件がわかる会」続報 中日新聞にも掲載


浜田先生のお話は、2時間以上に及びました。ほんの一部だけですが、以下にご紹介です。
第42回「袴田事件がわかる会」続報 中日新聞にも掲載



「袴田さんの自白過程は、彼の無実を証明する」そのことを話すと浜田先生。

『自白が無実を証明する 袴田事件』(副題は・・その自白の心理学的供述分析)という著書も。

*無実の人が、なぜ自白をするのかについて。
取調官が被疑者を根拠なく犯人と確信、無実の可能性を考えない取り調べが朝から晩まで連日続き、有罪方向への強力な磁場ができる。普通、ケンカしても、一日中言い争い続けるなどということはない。やっと終わったところで家へ帰れるわけではない。留置所だ。

毎日長時間続いた時、人はどういう状況になるか。
無力感に打ちひしがれてどうしようもなくなる→「犯人になる」
(対立、緊張関係に耐えられず、足利事件の菅家さんは、無実なのに1時間で「自白」)

「拷問など、直接的な暴力をふるわない形での取り調べが行われていたとすれば、やっていない人間が「私がやりました」というはずがないというのが世間の人たちの常識。しかし、それは、実際の取り調べの場面を知らないから」

第42回「袴田事件がわかる会」続報 中日新聞にも掲載


*自白内容の具体的展開について。
「やりました」と言ったら、取調官に「どうやったか」追及されることになり、みずから容疑を引き受け、想像で「犯人を演じる」。
苦しくて「私がやりました」と言っても、「どうやって?」と犯行について聞かれると全く分からない。しかし、「わかりません」では済まない。否認していると思われると、また取り調べの苦しさに戻ることになるから。

袴田さんが裁判になってから、自分がどうやって自白したか文書にして語ったものがある。
「取調べの場は、捜査官も知らない、自分も知らない。知らない者同士がこの事件がどういうものだったかを膝つき合わせて話している奇妙な場面だった」と。

袴田さんが犯人だったら、およそ考えられない言い方だ。

自分がやったとしたら、どうするかと想像して語るしかない。
想像だから、違っている。違ったら、調べている方が、「えっ、違うだろう」「筋がとおらない」と言う。あれこれ言っているうちに、どうにか合うものが出てくると調書になっていく。そういうことの積み重ねで、概ね捜査側がにぎっている証拠と合う調書ができていく。

やってない人間だから、しゃべれない。自白した後の場面を見た時、この人、わかってないな、記憶を辿っているのと、当てずっぽうでいっているのの違いは、誰にでもわかる。

一番それがわかる立場にいるのは、取調官。気がつくべきは捜査官。自分がやったと言っているのに、なんでこんなところで誤魔化すんだ?おかしいじゃないか、となるはず。虚偽の自白じゃないか、ひょっとして無実かもしれない、そう思ってしかるべき。

しかし、袴田さんの場合は、調書にとられているもの自体が証拠と合わない。

こんな馬鹿げた話はない、どうして捜査官が見抜けないのか。

*1966年、8月、9月の「取調べ録音テープ」(一部)をみんなで聞き・・
(2015年に47時間分、全体の1割くらいを検察が証拠開示したものです)

「袴田さんの取り調べ録音テープを、やった人間がしゃべってることやろか、という面で聞いて頂いたら、この人、事件の事何も知らんやっていうことに、はっきり気づくと思う」

「袴田さんは事件の事を知らない。甚吉袋がどういうものかも知らない。事件の事を体験者としては全く知らなかった。録音テープに、まざまざと残っている」

例えば、犯行ストーリーが、「自白」最初の3日間、日替わりで変わっている。
奥さんに家に火をつけてほしいと頼まれた~奥さんとの関係について専務と話し合うため行った~金がほしくて


*虚偽自白が生まれる原因については、「捜査側が、無実の可能性を全く考えないで取り調べをしているから」。

驚いたことに、浜田先生は、警察学校で「虚偽自白は何故おこるのか」講義しているとのこと。

足利事件の菅家さんはDNA鑑定で無実が明らかになりましたが、物的証拠で無実が証明されたことに捜査側が大ショックを受け、
「自白の心理学」「自白の研究」の著書がある浜田先生に依頼がきたのだとか。

「無実の可能性を少なくとも念頭に置いて調べる。本人が弁明すれば、弁明がその通りかどうか、後でチェックするということが捜査官の大事な仕事じゃないですか、と言って、警察官が「うんうん」と聞いてくれる。実際はどうか・・・」と先生。

*虚偽自白が起こる最大の理由・・「こいつが犯人に間違いない」と無実の可能性を一切考えない取り調べをすること。これが一番危険」

「袴田さんの取り調べも、否認19日間。うち30数時間、1~2割しか開示された録音テープはないが、それを聞くと、取調官が袴田さんを犯人に間違いないと徹底的に思っている。無実の可能性を一切考えていない。その根拠は、袴田さんが着ていたパジャマに「わずかに血がついていた」こと。それだけの「証拠」で、よくここまで確信できると驚き」

*「虚偽自白を防ぐ最大の手立て・・ひょっとしたら、無実かもしれないと思う事。
無実方向の弁明にはちゃんと捜査して本人に知らせる」

第42回「袴田事件がわかる会」続報 中日新聞にも掲載


途中、先生は、「こんなこと話していれば、いつまでたっても終わらないな。袴田さんのことを思って徹夜に?」などと冗談も言いながら、話は続き、会場はますます引き込まれていくのでした。

*真犯人を逃している重大問題

足利事件の菅家さんは、5年前、11年前の事件も疑われ、別件2件も「自白」。
菅家さん逮捕後、近くの太田市で同様に幼女が犠牲になる事件が起こっている。
菅家さんが犯人ではないとわかり、再捜査して真犯人を捕まえる努力をしたら防ぐことができたはず。
再審請求17年後。時効となっており再捜査もできない。

袴田さんの事件も、真犯人が絶対いるはず。
袴田さんを犯人としたため、真犯人はうまく逃れている。

これは許せない話と警察官も考えないといけない。

自白が無実の証拠になりうるという発想を、ぜひとも裁判官には持っていただきたい。
再審においても、「自白」が無実の証拠となることを裁判所が認めてしかるべきだと思っている。

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あ~、ご紹介しきれません。

実は、この会の前にYouTube「袴田チャンネル」の撮影をしています。

同様の内容の「袴田チャンネル」を近々アップしますので、お待ちくださいバイバイ









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