2021年01月31日

袴田巖さん 清水の集会へ登場 速報

夕方のNHKニュース静岡でも報道されましたが、巖さんが清水の集会に登場しました。

ひで子姉さんが、「天気いいから、富士山見に行かない?」と、巖さんを誘って。
(「集会に」なんて言ったら「終わったことだ」と却下されるに決まっているからです)

「行きましょ~~」と、私も加勢。

「富士山か」と、巖さんは話に乗って・・・出発車

まずは、今日一日の速報を写真でお届けします。

東名・日本平SAで昼ご飯休憩


あ~ひで子姉さん、隠れちゃいましたねガーン


写真だと小さいですが・・日本平SAでは富士山が大きく見えます。


富士山に向かって走るので、だんだん大きくなってうれしくなってしまいます。

「イワオさん、ほら、ほら、」と、つい騒いで。なんてったって巖さんに見せたくて!

みなさん、お待たせしました~会場に到着です。


報道のカメラが待っていました。


巖さんは、何?と最初は思われたかもしれませんが・・


もう集会も慣れてらっしゃる。


マイク握ると、「私がハカマタ イワオでございます」と饒舌に。


その後、最高裁決定が届いた日のことや巖さんの変化について話すひで子姉さん。


ひで子姉さんが話終わって、会場から拍手がわき起こりました。

なんと、巖さんも拍手してるではありませんかびっくり

いや~驚きました!!!初めて見ました。

おぞましい事件の事に触れるのは、巖さんの精神によろしくありません。
後で、不安定になるから。

出番が過ぎたら、すぐに退出。

このまま帰るのもねぇ・・浅間神社でも寄ってく?そうしよう!ということで・・静岡へ。


巖さんと大晦日にもきましたっけ。


「長いね」と、ひで子姉さんの目が目


お出かけでの外食も「お楽しみ」と思って。
「イワオさん、何か食べていきますか?」 「うん」

今日は、ラーメンじゃなかったですね。

今日は、ひで子姉さんもいて3人のドライブなので、女二人の会話でアハハ、オホホで賑やかです。

「ね~、今日さ、お天気よくて、ホント、よかったよね~」と、後ろのひで子姉さんに言ったら・・

「うん、よかった」

えっ、助手席の巖さんが返事してるグッドニコニコ

「ね~、よかったですよね~、ね」と、慌てて巖さんに。

巖さんも、ほんとに変わってこられました。こちらの世界にも耳を貸されて。

今日のドライブ、巖さんにひととき和んでいただけたでしょうか。









  

2021年01月30日

「袴田巖神社に行く」

「今日は、袴田巖神社に行きましょう」

そう、巖さんに言われました。

うーん、難しいご希望ですね・・

ないですもんガーン

ですが、巖さんには「ある」から、「はい、行きましょう」と出発車

神社には行きました。初めての見附天神。隣の磐田市。


どんなこと思ってらしゃるのでしょうか・・。


まだ時間が早かったので、少年時代の遊び場だったという岩水寺にも車

もう何度も同じような写真が登場していますね。何度も行ってるので。


どこへ行っても、巖さんは、「なんだ違うじゃないか」などと異議申し立てはなさいません。

今日は寒い日で・・帰りにちょいと一杯ニコニコ


帰ると、ひで子姉さんが、また怪力ぶりを発揮してました。


左のタンスと右のタンス、場所を入れ替えていたんです。一人でびっくり
「そんなもん、簡単ですよ」と、得意顔です。

さて、明日は清水で「1・31無罪を求める集い」があります。

主催:「袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会」
会場と時間:清水テルサ6階研修室 1時半から3時半
ゲスト:土屋源太郎さん(砂川事件再審請求人)
弁護団報告:間光洋弁護士

ひで子姉さんも登場します。
巖さんも・・といっても、巖さんのことなので直前にならないと分かりませんが、私の予想では確率8割です。

・・・・・・・・・・・・・・・
*みなさま、昨日お知らせした浜田先生の新刊、ぜひ読んでください!
















  

2021年01月29日

おススメ『袴田事件の謎 取り調べ録音テープが語る事実』

『袴田事件の謎 取り調べ録音テープが語る事実』 浜田寿美男著・岩波書店発行



写真の本は私のですが、付けた付箋をご覧ください。
読み進むにつれて、ま~なんてことだ!と驚くばかりで、それをブログで紹介しようと思った箇所ですが、30以上になり、紹介しきれなくなりましたびっくり

浜田先生は心理学者です。供述心理学も専門とし、名張毒ぶどう酒、甲山、狭山ほか多くの冤罪事件の供述分析をされています。袴田事件弁護団からの依頼で1990年から巖さんの自白過程を分析。そこから無実を見い出して裁判所に意見書を提出。しかし、まともな検討を経たとは思えない浅薄な批判で退けられ今日に至っています。

「あとがき」に記してあるように、本書は浜田先生の裁判所に対する憤怒が原動力となった渾身の作です。
(去年の12月17日初版発行なので、最高裁の差し戻し決定が出る前に書かれたもの)

読むと衝撃です。

えん罪「袴田事件」が作り出される現実が、そこにあるからです。

巖さんは、取り調べ調書に書かれているように言ってはいない!

「自白」したとされる9月6日から9日の起訴に至る4日間の取り調べは特に見逃せません。

白状するように責められても、巖さんは犯人ではないので、犯行について警察、検察が納得するようには語れないのです。
聞いている警察官、答える巖さん、事実を知らない者同士。

ここではひとつだけ、裏木戸問題での取り調べの様子を紹介します。
(「松本」は本件捜査主任の松本久次郎警部。◆は音声は聞き取れるが判別不可のものとのこと。「・・・」は私の省略)

「自白初日(9月6日)21時18分のテープ(本書158P~159P)

松本:お?現実に、それじゃあな、火事の、おー、火事、えー、一番最初発見されたときには、おまえさんが言うように、それじゃあ、裏木戸を蹴破ってな、◆◆、「出た」というけれども、あんときは、きちーんと、こうやって閉まってて、ええか?消防の人が二三人がかりで、あの、裏木戸の扉を開けただろうが、入るために。いいか?そういうとこを見ると、おまえさんがだな、帰りに出てくるのは、火をつけて出てくるのは、この裏木戸じゃないだよ。おまえさん、そう言うけども。いいかね?

袴田:裏ですよ。

松本:うん?

袴田:裏ですよ。

松本:裏じゃないって。・・・・・・な、消防の衆が、おまえ、開かんもんで、わっさわっさ火事の時、やって開けただもんで。おまえさんがあそこから出たっちゅうことは、それじゃ、おまえ、内側から、おまえ、みんな死んでるだもんで、おめえ、カンヌキかけることないじゃないか?できないじゃないか?なぁ?そういうに言うと、おまえさんは出るについたじゃ、な、どっかほかの、おまえ、勝手場の屋根の方からずーっと逃げてきやへんか?火をつけといて。

袴田:◆◆ないです。

松本:それだども、おめえ、理屈に合わんじゃないか。

延々と、続きます。
巖さんは連日の拷問的取り調べで消耗しきっていて、前日まで、ほとんど無言です。取り調べの警察官が複数で「謝れ」「泣いてみろ」「男だろ」「おまえが犯人だ」、やいのやいの言い続けているだけ。

調書は作文、公判では警察、検察が偽証!

生々しい現実、巖さんが犯人に仕立て上げられて行く様子を、どうぞ本書で知ってください。








  

2021年01月26日

晩白柚(ばんぺいゆ)開き

「でけーな」と、巖さんもビックリの晩白柚(ばんぺいゆ)。


先日、来てくださった亀石倫子弁護士から巖さんへのお土産でした。

「イワオさんには、お菓子じゃないほうがいいと思って。ほら、糖尿ってね、聞いたから」

亀石さんのお心遣い、ありがたく頂戴し・・

大事にしまってありましたが・・本日「いただきましょう!」ということに。

「これ見て、種も、まぁ大きいこと」とひで子姉さん。

「イワオさん、どうぞ~」


「いかがですか」

「うん、うまいがね」

サクサクして汁が垂れずに食べやすい。甘酸っぱくてスッキリした味です。
爽やかで美味しい!
熊本県八代市の特産品。遠くからやってきました。

ごちそうさまでした~!

ドライブ続きだった巖さんですが、今日は・・

「行くとこ、ないんだな」

「街にいきますか?」

「街くらいは、行かにゃ、しょうがないだろうね」

ということで、今日は、「見守り隊」女性と街にお出かけです。


今日の浜松は、春のような陽気でした。巖さんもコートなしで。

歩くのは健康のもと!







  

2021年01月25日

朝日新聞朝刊・社会面に大きな袴田事件記事でました

朝、米沢の幼なじみから知らされましたびっくり米沢で見てるってことは全国版だ!


みなさま、どうぞ!っていっても遅いか・・。

さて、今日の巖さんです。(豆粒みたいなのが巖さん)


「今日は・・フィリピンに行くからね」

フィリピン(マニラ)へは、巖さんがプロボクサー時代に遠征に行っています。前途洋々としていたあの頃、巖さんの記憶に色濃く残っているのでしょう。時たま口からフィリピンが出ます。

「フィリピンですか。何しに行きますか?」とお聞きしました。

「フィリピンは・・あったかいからね」

なるほど。獄中47年7ヶ月、冬に暖房はなく、「しもやけ」に悩まされていたことが獄中日記や書簡に書かれていましたっけ。ひどかった時の事が巖さんの頭にフラッシュバックしてくることがあるのではないでしょうか。「寒いのが嫌だ」と言われるのを何度も聞きました。ひで子姉さんが家の中を快適温度に保っているのですが。

「フィリピンは暑くて、こんなの着ちゃおれん」

カーディガンを脱ぎ、厚いシャツを脱ぎ、軽装になる巖さん。

「車でフィリピン行くの?」と、ひで子姉さん。

「車で」と、巖さん。

んん・・車でフィリピンね・・ま、とにかく、出かけなきゃ。

えーと、どこへ行けばいいかなぁ・・と考えながら走り車

そうだ!フィリピンなら空港だ!我ながら、いいこと思いついたまるっ


ほら、金網の向こうに赤、黄、緑の飛行機が飛行機

富士山静岡空港に来ました。

誰もいない到着ロビー。


あ~あっと。


お客さんがいなくてレストランはやってません・・・カフェくらいあるでしょ・・あった!

巖さんにも、アフォガード!

「イワオさん、フィリピンに行く飛行機は、今日ありません」

「ないのか・・」

ドライブして帰ってきました。

巖さんは、出かけることで納得されているようなのです。

明日は、どうなるでしょう・・。またご報告しますねバイバイ








  

2021年01月22日

袴田巖さん 最高裁決定後の変化

今日の巖さんです花束


みなさま、特に浜松の街で巖さんが歩くコース上にいらっしゃる皆さま、

この頃、袴田さん見ないけどどうしちゃったんだろう・・とご心配いただいているかもしれません。

ご安心ください、巖さんはお元気です!

街から姿を消したわけ・・それは、ドライブをしているからなんです車

妄想の世界をお持ちのため、行先が「ハチミツの世界」だったり、「果物の世界」だったり、色々。

今日は、「福福神になるために東京へ」とおっしゃいましたが、さすがに東京までは行けません。

東京方面・・ということで、東名高速を走って掛川の花鳥園に行ってみました。

今日のスナップをお楽しみください。

フクロウ君がたくさん並んでいます。お互い、見つめ合ったりして・・


これは、ニセモノですが・・


お兄さんと一緒にペンギン君がやってきました


巖さん、動物好きだから・・目がやさしい。


純白の孔雀・・


部屋(っていうか?)の中、鳥は放してあるので、そこら中飛んだり歩いたりしてて

孔雀が目の前にきたら・・なんと500円玉を差し出す巖さんびっくり
「いやー、イワオさん、孔雀はお金はいらないと思いますけど・・」と控えめに意見しましたが・・

孔雀が受取らないので・・ホイっと・・・慌てて私が拾いましたひみつ

んん・・巖さんの謎。でも、巖さんの表情がいいでしょ。よかった~。




この右上に、また大きな変わった鳥がいるんです。(名前忘れた・・看板娘?息子?らしい)


1番可愛いフクロウ君、巖さんの膝に乗せて連れて帰りました。


帰りに巖さんの好きなラーメン食べたりして、暗くなっちゃったのでお出迎え。


「どこ行ってきたの?」とひで子姉さん、巖さんが帰って来てうれしそう。

「途中までしか行かなかった」と巖さん。わかっておいでです。

フクロウ君、さみしくないように・・やっぱり連れていく


ハイ、仲間入り。巖さんが布団敷いて横になると、ちょうど見えるところ。



ちなみに、「ハチミツの世界」と言われた時には、三ケ日のハチミツ屋さんへいきました。



そんなわけで、去年12月23日に最高裁決定が届いてからというもの、私の顔を見ると「車で」となっています。

最高裁決定後、巖さんに変化が見られます。

これまでは、「ハカマタ・イワオをぶち殺そうとしている」「菌」に苛まれて、「それどころじゃない」と、酷寒でも酷暑でも雨でも風でも、とにかく浜松の街を歩いて見張っていなければならなかった。その気持ちが、ゆるんでいる・・。

「菌との闘い」で出かけていたのが、「ハチミツの世界」だの「果物の世界」に変わってきたのです。

最高裁の決定後 、「がんばってください」から「よかったですね」へと周囲の空気が変わりました。

よかったムードに包まれている・・。

それが巖さんに反映されています。

最後に今日の車中での会話を。

「イワオさん、もう菌がいないから呑気にできますね」

「だんだんね、そうなってきてるんだね」





  

Posted by 袴田家物語 at 23:58Comments(0)

2021年01月19日

YouTube「あるごめとりい」 袴田事件に怒ってる!



みなさま、YouTube「あるごめとりい」ってご存知ですか。

私も初めて知りましたが、チャンネル登録者数が39万人もYouTubeです。

斬新!

このサイトで袴田事件が取り上げられています(公開わずか1日ほどで14万回以上再生)。
(少々、あれ?というところもある内容ですが)

人気ユーチューバーが紹介してくれ、若い人が事件を知るきっかけになっています。

「あるごめとりい」さん、ありがとうございます!

コメント欄もスゴイ!昨日500件以上ありましたが・・

みんな巖さんに心寄せて、この事件に怒りまくっています。

中に、奥さんとの笑顔の写真みてよかったと思った、のようなコメントありましたが・・

巖さんに奥さんはいないから・・その写真って・・もしかして私かな(笑)。
(巖さんと一緒にいると、よく「奥さん?」と言われてます)

さあさ、ご覧を→ https://www.youtube.com/watch?v=SE5Sp4Srsi4






  

2021年01月17日

第39回「袴田事件がわかる会」続報 ゲスト亀石倫子弁護士

トップバッターは、ひで子姉さん。(写真撮りそこねたので、亀石さんとのツーショットで)


「最高裁から封筒届いたときはね、あー、ついに来たか、と思いましてね。開けて、主文というとこだけ見ました・・・ま~、うれしかったですね。!とにかく、うれしかった!ちょうど、支援者の清水さんが来ていてね。あちこち連絡してもらったり。私は弁護士さん、団長の西嶋先生や小川先生などに電話しても、お留守。もー、だれも弁護士さんはつながらない。そうこうするうちにマスコミの人たちが押し寄せてきて、話してたら、今度は清水の山崎さんに記者会見するからしゃべるのヤメ、とか言われるでしょ。それー、静岡へ会見に行かなきゃ。で、会見して暗くなって帰ってきたら、家の階段を、いつの間にかゾロゾロ記者のみなさんが付いてきて、もー今日はいい特別だ、と入ってもらってね・・・イワオは、おかしいには、おかしいけど、どーってことありません。元気にしておりますので、今後ともよろしくお願い申します」 最高裁決定が届いた日のてんやわんやを、笑顔で語りました。

亀石倫子弁護士、「私も巖さんの応援団の一人として、皆さんと同じように巖さんの一日も早い無罪を願っています。みなさん、いつも支援してくださって、感謝です」とスタート。

自己紹介。大学の英文科を卒業後、大手企業に就職するも、大きな組織に所属して働くのが自分の性にあわなかったとか。

「もうね、空気が読めないっていうか・・自分は会社員には向いてないと思った」。会社は辞め、結婚。「自分らしく働くには・・と考えていたところ、本屋で司法試験の本を見てこれだ!と思った。法学部出身でもないのにね」
・・ロースクールに入って30才。34才で司法試験合格。

刑事事件の弁護人になるきっかけは、ロースクール時の先生の話だったとか。

「その先生が和歌山カレー事件の林眞須美被告の弁護人だったんです。私は事件の時、一般人でテレビみて、この人が犯人と思っていた。先生は、なんでこんな人の弁護ができるのか、とすら思った・・」

そこで初めて弁護人から見た「真実」を聞かされた亀石さん。この事件は直接証拠が何もなく、曖昧な目撃証言しかない、土地柄で家にシロアリ駆除薬品があるのはめずらしくなく、その薬品中にはヒ素も、などと知る。さらに、「その先生が、被告を眞須美ちゃんと呼び、『眞須美ちゃんはね、お金になることだったら何でもするんだけど、カレーに毒を入れて無差別に人が死んだところで、お金が一円も入ってくるわけじゃない。動機がないんだよね』とか、そういう話を聞いているうちに、一体私は、何を根拠に『この人、絶対犯人でしょ』と思ってたんだろうと、今まで生きてきて一番衝撃を受けたんです。頭を金槌で殴られるような衝撃。今までの私の思い込み、偏見、先入観というのが何だったんだろうと思ったんですね」

「自分の頭で考えているようでいて、実は全然そうじゃなかった。メディアが垂れ流す情報を、ただ鵜呑みにしていた・・わかったような気になってただけだったという事に、初めて気づいた」

「この衝撃が、刑事弁護という仕事に興味を持つきっかけで、絶対私は、試験に受かって弁護士になれたら刑事弁護やろうと思いながら勉強しました。これが刑事弁護人として仕事をしていく原点」

「この時から本当の人生が始まったように思う」


<弁護士になってから、最高裁三連勝の偉業>

◆クラブ風営法違反事件―最高裁で無罪確定

クラブは、女性がお酌してくれるところではなく、ミラーボールと大音量音楽の中でダンスをするほう。風営法は昭和23年戦後すぐあと、混乱期にできた法律で現代にそぐわない。自分は弁護士3年目、6年目以下の若手で弁護団を結成。




「この事件をやっている時に、学んだのが、事件に注目を集める工夫をしなきゃいけない、社会の人にこういう問題が起こっているという事を知ってもらって、おかしいじゃないかという声を一緒にあげてもらわないといけないということ。ドキュメンタリー映画、「SAVE THE CLUB NOON」というのを、ある映画監督が作ったんですけど、その資金をクラウドファンディングで集めた。20014年のことなので、今から6年も7年も前、ものすごく新しい事だった。



・・・あとは、クラブの人たちのアイディアでポストカード。クラブのイベントをやるときに作る宣伝のポストカードと同じように、ムーン裁判控訴審第1回裁判、公判の日程が書いてある。他のクラブ、カフェ、美容室などに置かせてもらって、まるでイベントみたいに裁判に来てもらう工夫をしていた。

クラブの人たちのアイディアで、実際の弁護人の冒頭陳述を別撮りしてYouTubeにアップもした。(2014年4月19日公開)これは、毎回傍聴席が満席になることにつながった。この裁判の行方を多くの人が注目している事が裁判官に伝わる事で、いい加減な判断はできないと思わせる効果があったと思う」

結果として、1審で無罪。検察は、もちろん控訴。大阪高裁でも無罪が維持。検察は最高裁へ上告するも棄却されて無罪が確定。これがきっかけで、風営法が改正されることになった。

「この事件の経験により、刑事弁護の仕事が、こんなふうに社会を巻き込む、世論を味方につけて社会を変えるという力があると、初めて思った。この経験が今に生きてる」

◆令状なきGPS追跡捜査事件―最高裁大法廷で弁論、無罪確定


 警察がサービス提供会社からGPS端末をレンタルして、捜査対象者の車やバイクに無断でそれをとりつける。それを携帯電話などで簡単に位置を検索することができる。今、どこにいるかを簡単に把握することができる「監視捜査」をやっていたことが発覚。人権侵害するような捜査は、令状を必要とする。

「私がこの事件を受け、同期の弁護士6人で弁護団を作って取り組んでいくことにしました。プライバシー侵害という事を、どうやって裁判官にわかってもらうか。どれくらいGPSで居場所がはっきりわかるものなのか、実際に自分たちで2台の車を使い実験してみました。・・住所や地図が出る。すごく正確な位置がとれる。自分たちが体験してわかった事を、裁判官にも経験してもらうような感じで、すべて写真を添付しました」。
後日談で、裁判官が分かりやすかったとのことが耳に入ったとか。

結果、令状なしのGPS捜査は違法、プライバシー侵害になるという判断が出た。
ところが、福岡、大阪、名古屋、広島、福井、東京など全国各地の地方裁判所で令状なきGPS捜査は違法という訴えが起こされたが、判断が真二つに分かれたとのこと。尾行や張り込みには礼状がいらない、GPS捜査も尾行張り込みの一種にすぎないという判断も。

真二つに分かれたのをこのままにしておくことはできないと最高裁も考えたか。
「私たちの事件で、最高裁の大法廷(最高裁裁判官15人全員が並ぶ)で判断することになった。こんな大ごとになるとは思っておらず、ビックリ。・・・最高裁に行くことが初めてで、場所をネット検索したくらい」
「どんなプレゼンテーションをするのがいいか考えた。難しそうな書面をだすとか、難しそうなことを言うのは身の丈に合っていないと思った。弁護士になって6~7年目で弁護士としてはぺーペー。・・・私たちがGPS捜査の何が問題と思ってやってきたかを聞いてもらおうと思って、身の丈にあった自分たちの言葉で、書面を読み上げるのではなくて、きちんと言う事を頭に入れて、一人一人の裁判官の目を見て訴えた。

(左最前列、右端が亀石弁護士)
<権力の暴走を許し、権力が国民を監視する社会を選ぶのか、それとも、個人が強くあるためのプライバシーを大切にする社会を選ぶのか、この裁判がひとつの分岐点になるでしょう。私たちの子孫が、この裁判の事を知った時に、私たちを憎むのではなく感謝してくれるような判断であることを願っています>

(いやー、素晴らしい弁論!ハリウッド映画の法廷クライマックスを見るようです!)

これが弁論の一番最後に言った言葉なんです。・・・裁判官の方々は、顔をあげて、耳を傾けて聞いてくれました。・・最高裁というのはどういうところなのか、遠い所すぎて謎で、私たちは弁護士だけど、みなさんと同じで、もう全く分からない。だけど、その裁判官たちに少しでも耳を傾けてもらう、心に届くような言葉で話すという事を愚直に実践しました。

その結果、令状取らなければGPS捜査はできないという判断を、最高裁はしてくれ、さらにもう一歩踏み込んで、そのGPS捜査をするためには、今法律で定められている礼状ではダメで、新しく法律を作って立法的な措置をしないといけないというところまで踏み込んだ判断をした。これは画期的であったと同時に、警察の捜査の現場には打撃が大きいような判断でした。

この判決が出た後、全国の警察が、今取りつけているGPSを外しにいったという話を聞きました」
*詳しくは『刑事弁護人』亀石倫子著に。大法廷での弁論も掲載されています。
大法廷で弁論の機会がある弁護士など、そうはいません。

◆タトゥー彫り師裁判―大阪高裁で逆転無罪、最高裁で無罪確定


医師免許を持っていないと摘発された事件。タトゥーは医療か芸術か。
刺青への偏見があり、「自分も怖いイメージだった。それは感情だから、法律と分けて考えなければならない」

1審の有罪判決が結論ありきで怒りがわいたという亀石弁護士。
「日本で初めて訴訟費用を募るクラウドファンディング始めたんですが、目標300万を超える金額が集まった。お金が足りなくて立証できなかった外国、アメリカ、フランス、ドイツなど医師免許不要国との比較、立証ができた」
30年、大阪高裁で逆転無罪に。「職業彫り師と書いてあったことが、彫り師の職業を守る裁判だったから、うれしかった。学者や皮膚科の医師など、色々な分野の力を集めて裁判を闘う事ができるんだと思いました」

3つの事件全て、若手弁護士で闘い勝った亀石弁護士、一昨年10月大崎事件40年目のイベントにゲストで招かれた時、初めてひで子姉さんと会った。

(左から、亀石弁護士、大崎事件弁護団事務局長・鴨志田祐美弁護士、湖東病院事件・再審無罪の西山美香さん、ひで子姉さん、東住吉事件・再審無罪の青木恵子さん、甲南学院大・笹倉香奈教授)

再審事件との初めての出合いで、なんという不正義!と衝撃を受けたとのこと。そして、大崎事件弁護団に参加することになった。

「私が入って何ができるかと思ったが、クラウドファンディングを提案。まずは、鹿児島の田舎の事件だから知名度が低い。こんな司法の不正義があり、許されないことを広く知って頂きたいとの思いで、1240万円集めることができた。金額以上に、初めてこんなひどい事があると知ったと、一緒に怒ってくれる人たちがたくさん現れ、私たちも励まされたし、実際にクラウドファンディングで集まったお金で事件の再現実験、高額の費用がかかる3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)でできました」

「この後、袴田事件のクラウドファンディングが始まり、1800万集まり、さすが袴田事件ですが、袴田事件も終わったと思ってらっしゃる人もたくさんいる。釈放された時点で、もう巖さんは無罪になったと思われた方がたくさんいたので、クラファンが始まったことで、えっ、まだ終わってなかったの?!って、改めて知ったという方もたくさんいたということが、私のまわりにもあった。こういうことを、社会に対して発信していくという事がすごく大事だなと思ったし、その世論の関心とか共感とか、司法に対する批判が今回の最高裁の決定に後押しに・・・、今、勢いがあり、いい流れができていると思います」

最後に、コロナで持続化給付金から性風俗事業者が対象外になっている問題に取り組んで・・。
「性風俗事業に対する偏見差別、・・日本人の道徳観、価値観として嫌だ、嫌いだというのがあると思うし、あんなの仕事じゃないという人もいるし、色んな考えがあると思うんだけど、国がそれを理由に除外して給付金を出さないということが、憲法14条の平等原則に反するのではないか、という裁判をしています。これも、クラウドファンディングをして、すごくたくさんの支援を頂いた」

「私が関わっている事件に共通しているのは、社会からの偏見が強い、それで社会から排除されるような職業や人の側に立って、一緒に闘う。社会に対して発信するということです。去年の10月に初めて袴田さんのお宅にお邪魔して、巖さんとひで子さんと3人でお昼ご飯を食べたりしながら、ひで子さんにお話を聞いて、巖さんの事件当時、ボクサーという職業に対する偏見があったこと。巖さんが、そういう偏見の下で、「アイツがやったに違いない」と思われたし、当時、メディアが書き立て、テレビで言われてたら、私も漫然とそれを鵜吞みにしていたかもしれない。自分の中にも、偏見があるんじゃないかという事をいつもいつも思って、こういう仕事をしていてその偏見に気づいた時に、どうやったら社会の皆さんに気づいてもらえるだろうかと考え、偏見というのは、まず知らないという事から生まれると思うので、知ってもらうという、そういうための発信をしていかなきゃいけないなと思っています」

「誰かの権利や自由が脅かされているのを、他のみんなが見過ごす社会になってしまったら、いつか違うかたちで自分自身に返ってくる。自分が安心して暮らせる社会であるために、他者への権利侵害を他人事にしてはいけない」(『刑事弁護人』より)

亀石倫子弁護士の他者への眼差しは、思いやりに満ちています・・。

たくさんご紹介したくて長くなりました。

読んで頂きありがとうございます!






  

Posted by 袴田家物語 at 23:58Comments(0)袴田事件がわかる会

2021年01月16日

亀石倫子弁護士の袴田家訪問&第39回「袴田事件がわかる会」速報

「イワオさ~ん、こんにちは~」

突然の華やかな若い女性(ほら、いつもはデコちゃんと私だからさ)の出現に、見ないようにしている巖さん。

「イワオさん、倫子さんですよ。ほら、前にもいらしたでしょう」

「イワオさ~ん、おみやげです~」と倫子さん。

「おっきいでしょ~、これが美味しいんですよ~、イワオさん」

写真撮りましょう、ハイ、巖さん、コワイ顔しないでね、ニッコリ!ね。


どうです、巖さんの顔グッド倫子さんのニッコニコ旋風で袴田家が一気に春爛漫となりました。
ちなみに、巖さんが手にしているのは晩白柚。みなさん、ご存知ですか。夏ミカンみたいなんですが、味が全然違う。すっきり。汁がたれず食べやすいのも特徴です。

「ひで子さん、だ~い好き!」とひで子姉さんと話に花を咲かせる亀石さん・・


なにやら、二人で大笑い・・



そして・・ひで子姉さん、亀石さん揃って会場へスタコラ








「わかりやすくて楽しかったです。難しい話もありましたが、理解できました」「亀石節に引き込まれ、あっという間でした。ブラボー」と会場から声があがった内容は、続編でバイバイ







  

2021年01月14日

YouTube「袴田チャンネル」 宮本弘典教授その2、アップしました~

みなさま、YouTube「袴田チャンネル」、宮本教授の「刑事司法の歴史」ご覧になりましたか。

どうして、日本の裁判所では検察側ばっかり有利なのか・・
正義は、どうして勝てないの??
最たるものが冤罪事件でしょう・・

どうして?どうして?どうして?と思っていましたが・・

いや~、そうだったのか!!!

歴史的分岐点で改革派が勝っていたら、「袴田事件はなかった」。

宮本先生が教えてくださいました!


みなさま、宮本先生の熱い講義、ぜひご覧ください!!!

こちら→ https://www.youtube.com/channel/UCqlu_zQAcuZkoHv-b4OT7bQ/videos?view_as=public