2024年03月30日
袴田再審 日弁連再審実現本部記者会見(静岡弁護士会館)
27日、朝から静岡で広報活動をしてきた日弁連再審法改正実現本部のメンバーの記者会見です。
司会は、活動を牽引している鴨志田祐美弁護士(再審法改正実現本部本部長代行・大崎事件弁護団)
「まさにこの袴田事件こそが、再審のルールの不備を体現している」と述べ、
静岡での一日活動報告(街宣、静岡県知事と静岡市長訪問して再審法改正賛同の要請、再審法の学習会開催など)をしたあと、
「袴田事件の判決がこの夏にも出るが、これが再審法のルールを見直さなければならないという世論が1番強くなる、最大瞬間風速になる時。その時に、法改正をやるのだと政治的決断を国会、与党、政権にもさせなければならない」と力を込めました。袴田事件が完全に無罪になって終わることは素晴らしいこととしつつも、死刑4再審がそうだったように、世間が問題を解決してしまったかのように思い、法改正の世論がさめてしまうことを危惧、「今から再審法改正に向けた活動を加速させていく」と宣言。「再審法改正に向けた国会議員連盟も立ち上がり、昨日の時点で165名の議員が加わっており、これからが勝負だ。法務検察の抵抗は激しさを増すことが予想される」とし、報道機関には継続的な報道も要請しました。鴨志田弁護士は、その情熱で文字通り気炎を吐くがごとしでした。いつもですが。
上地大三郎弁護士(再審法改正実現本部事務局長・徳島弁護士会)
街宣での感想、袴田事件の現地に来て市民の関心の高さを実感したことなどを述べたあと・・再審が20年30年40年かかることの異常さを述べ、「今日は村山決定から10年というが、みなさん10年前は何されてましたか?」と、10年という長さを問いました。たぶん即答できる人はいないくらい長い時間。その原因が「ルールがないから。法治国家なのにルールがない。そのために冤罪被害者が救われない。何十年もかかる。一生かかっても救われない人もいる」と述べ、法を変えるには国会議員をその気にさせるための市民の後押しが必要、この静岡の盛り上がりを全国に広げて国民的運動にして変えなければならないと訴えました。
30件余の無罪判決を確定させ「伝説の刑事裁判官」と紹介された木谷明弁護士。
「私はもう86歳になってまして実質的には応援団、実働部隊ではありませんが今日は正念場と思いまして参戦しました」 それから、「どうして再審法がこのような変な法律になっているのかの根本」を説明。
旧刑事訴訟法から新憲法下での刑事訴訟法に変わる時、再審法は時間切れで検討されず、「再審はめったに起きることではないから」旧法そのままにして改正できなかった。旧法のままということは「職権主義」(裁判所がイニシアチブをとって審理をすすめていくやり方)のままだが、新憲法下では当事者主義(現実は検事が主導権をとってベストエビデンス、自分に都合のいい証拠だけを出す。弁護人は弁護人で自分で証拠を集めて提出、客観的な裁判所が公平に裁判をする)に。当事者主義になると裁判所は受け身。それに慣れてしまい、「職権主義」の再審でも当事者が何も言ってこないと放っておく裁判官が多くなった。それで再審事件はどんどん長引く。2~3年長引くと裁判官は転任してやらずに済むことに。
「日弁連の(再審法改正案にあるように、手続きに期限をつける。法律にしっかり書き込むことが必要とつくづく思う。何とかこの運動は成功、完成させたい」と結びました。
森下弘弁護士(東住吉事件弁護団)
「再審法改正の目玉」2つ、証拠開示を制度化することと再審請求審については検察の抗告を許さず早く公判の審理を始めることと述べ、袴田事件の長期化について、「第1次再審では証拠開示なし、検察が出さないといったらそれで済んでいた。第2次再審では検察が(再審開始決定に)抗告して10年の歳月が費やされた」と述べ、「法務検察は、いや我々は誠実に運用で改善していくと言っていますが、今日の証人調べを見て、誠実に運用で解決しようという姿が見られましたか?」「それはまさに、この袴田さんの事件が、再審法を改正しないと冤罪被害者は救済できないということが広くわかったのではないか」そして、このことをぜひみなさんの友人知人に知らせるよう、マスコミも報じるよう訴えました。
(あれ、森下氏の弁護士バッチの下には「袴田サポーターズクラブのバッチ)
石側亮太弁護士(日野町事件弁護団)
日野町事件が2度の再審開始決定が出されるも、検察の抗告により現在最高裁に係属中であり、御本人は亡くなり遺族が裁判を引き継いでいる。2018年7月11日に大津地裁で再審開始決定が出されてから6年近く経っていることと対象的な韓国の例を紹介すると会場は驚きの声があがりました。。
それは・・韓国には国家人権委員会という独立した人権機関があるが、2018年11月5日にある決定が出された。再審に時間がかかりすぎるという人権救済の申し立て。
「再審開始決定決定があってから検察が抗告を重ね、最終的に確定するまで3年もかかっている」と書いてあることを述べると、会場からは笑い声が聞かれました。あまりの日本との差に、会場にいた人たちはあっけにとられて笑ってしまったようなのです。
さらに石側弁護士が、「違う事件では、3年3ヶ月もかかっていると書いてあるのです」と加えると、さらに苦笑。
話は続き・・翌19年に実際に韓国の大検察庁は動いた。再審開始決定に反射的に抗告していることを批判され、1年後にマニュアル作成。明確な誤りがない限りは抗告をするべきではないと。
「ぬるま湯のようなものでも、検察庁が自ら変わろうという事実がある。このことと我々が直面しているものとの違いは一体何なのか」と石側弁護士。そして、「それは、韓国の検察庁は市民の目を気にするから。自分たちが国民的支持を得られるかと考えるから内部改革をしようとする。日本の検察にそれがないのは、我々市民の責任でもあると思う」と述べ、市民が声をあげることの重要性を訴えました。説得力がありました。
最後は、小林修弁護士(名張事件、日野町事件、豊川事件弁護団)
それぞれの冤罪事件について触れ、「弁護士になって40年過ぎたが、40年経ってもまだ結論が出ない再審はおかしい」こと、また名張事件は1審無罪なのに名古屋高裁で死刑になり、その後も名古屋高裁で再審請求が棄却されていることなど名古屋高裁の一部不審感を漂わせていました。
「裁判所次第で再審が長くかかる。証拠開示も裁判官が良ければ出してくれるし、そうでないと出さない」と、裁判官により「格差」が生じている問題を指摘、「裁判官まかせにするのはいけないというのが今回の再審法改正の考え。ぜひ袴田事件で盛り上がっているうちに改正したい」と述べました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
長くなりましたが、どの方の話も逃せない内容でした。
巖さんの半世紀にわたる冤罪の責め苦の精神的傷は未だに癒えることはありません。
再審無罪、その日が来たならば、巖さんは逃げ込んだ妄想の世界から脱出できるのか・・私たちは巖さんの闘いを必死に支えつつ、同時に巖さんや他の冤罪被害者が救われようのない闇を断つことを成し遂げなければなりません。
再審とは無辜の救済が目的。それを実質的に拒否している制度を歴史のごみ箱に捨てなければならない!
司会は、活動を牽引している鴨志田祐美弁護士(再審法改正実現本部本部長代行・大崎事件弁護団)
「まさにこの袴田事件こそが、再審のルールの不備を体現している」と述べ、
静岡での一日活動報告(街宣、静岡県知事と静岡市長訪問して再審法改正賛同の要請、再審法の学習会開催など)をしたあと、
「袴田事件の判決がこの夏にも出るが、これが再審法のルールを見直さなければならないという世論が1番強くなる、最大瞬間風速になる時。その時に、法改正をやるのだと政治的決断を国会、与党、政権にもさせなければならない」と力を込めました。袴田事件が完全に無罪になって終わることは素晴らしいこととしつつも、死刑4再審がそうだったように、世間が問題を解決してしまったかのように思い、法改正の世論がさめてしまうことを危惧、「今から再審法改正に向けた活動を加速させていく」と宣言。「再審法改正に向けた国会議員連盟も立ち上がり、昨日の時点で165名の議員が加わっており、これからが勝負だ。法務検察の抵抗は激しさを増すことが予想される」とし、報道機関には継続的な報道も要請しました。鴨志田弁護士は、その情熱で文字通り気炎を吐くがごとしでした。いつもですが。
上地大三郎弁護士(再審法改正実現本部事務局長・徳島弁護士会)
街宣での感想、袴田事件の現地に来て市民の関心の高さを実感したことなどを述べたあと・・再審が20年30年40年かかることの異常さを述べ、「今日は村山決定から10年というが、みなさん10年前は何されてましたか?」と、10年という長さを問いました。たぶん即答できる人はいないくらい長い時間。その原因が「ルールがないから。法治国家なのにルールがない。そのために冤罪被害者が救われない。何十年もかかる。一生かかっても救われない人もいる」と述べ、法を変えるには国会議員をその気にさせるための市民の後押しが必要、この静岡の盛り上がりを全国に広げて国民的運動にして変えなければならないと訴えました。
30件余の無罪判決を確定させ「伝説の刑事裁判官」と紹介された木谷明弁護士。
「私はもう86歳になってまして実質的には応援団、実働部隊ではありませんが今日は正念場と思いまして参戦しました」 それから、「どうして再審法がこのような変な法律になっているのかの根本」を説明。
旧刑事訴訟法から新憲法下での刑事訴訟法に変わる時、再審法は時間切れで検討されず、「再審はめったに起きることではないから」旧法そのままにして改正できなかった。旧法のままということは「職権主義」(裁判所がイニシアチブをとって審理をすすめていくやり方)のままだが、新憲法下では当事者主義(現実は検事が主導権をとってベストエビデンス、自分に都合のいい証拠だけを出す。弁護人は弁護人で自分で証拠を集めて提出、客観的な裁判所が公平に裁判をする)に。当事者主義になると裁判所は受け身。それに慣れてしまい、「職権主義」の再審でも当事者が何も言ってこないと放っておく裁判官が多くなった。それで再審事件はどんどん長引く。2~3年長引くと裁判官は転任してやらずに済むことに。
「日弁連の(再審法改正案にあるように、手続きに期限をつける。法律にしっかり書き込むことが必要とつくづく思う。何とかこの運動は成功、完成させたい」と結びました。
森下弘弁護士(東住吉事件弁護団)
「再審法改正の目玉」2つ、証拠開示を制度化することと再審請求審については検察の抗告を許さず早く公判の審理を始めることと述べ、袴田事件の長期化について、「第1次再審では証拠開示なし、検察が出さないといったらそれで済んでいた。第2次再審では検察が(再審開始決定に)抗告して10年の歳月が費やされた」と述べ、「法務検察は、いや我々は誠実に運用で改善していくと言っていますが、今日の証人調べを見て、誠実に運用で解決しようという姿が見られましたか?」「それはまさに、この袴田さんの事件が、再審法を改正しないと冤罪被害者は救済できないということが広くわかったのではないか」そして、このことをぜひみなさんの友人知人に知らせるよう、マスコミも報じるよう訴えました。
(あれ、森下氏の弁護士バッチの下には「袴田サポーターズクラブのバッチ)
石側亮太弁護士(日野町事件弁護団)
日野町事件が2度の再審開始決定が出されるも、検察の抗告により現在最高裁に係属中であり、御本人は亡くなり遺族が裁判を引き継いでいる。2018年7月11日に大津地裁で再審開始決定が出されてから6年近く経っていることと対象的な韓国の例を紹介すると会場は驚きの声があがりました。。
それは・・韓国には国家人権委員会という独立した人権機関があるが、2018年11月5日にある決定が出された。再審に時間がかかりすぎるという人権救済の申し立て。
「再審開始決定決定があってから検察が抗告を重ね、最終的に確定するまで3年もかかっている」と書いてあることを述べると、会場からは笑い声が聞かれました。あまりの日本との差に、会場にいた人たちはあっけにとられて笑ってしまったようなのです。
さらに石側弁護士が、「違う事件では、3年3ヶ月もかかっていると書いてあるのです」と加えると、さらに苦笑。
話は続き・・翌19年に実際に韓国の大検察庁は動いた。再審開始決定に反射的に抗告していることを批判され、1年後にマニュアル作成。明確な誤りがない限りは抗告をするべきではないと。
「ぬるま湯のようなものでも、検察庁が自ら変わろうという事実がある。このことと我々が直面しているものとの違いは一体何なのか」と石側弁護士。そして、「それは、韓国の検察庁は市民の目を気にするから。自分たちが国民的支持を得られるかと考えるから内部改革をしようとする。日本の検察にそれがないのは、我々市民の責任でもあると思う」と述べ、市民が声をあげることの重要性を訴えました。説得力がありました。
最後は、小林修弁護士(名張事件、日野町事件、豊川事件弁護団)
それぞれの冤罪事件について触れ、「弁護士になって40年過ぎたが、40年経ってもまだ結論が出ない再審はおかしい」こと、また名張事件は1審無罪なのに名古屋高裁で死刑になり、その後も名古屋高裁で再審請求が棄却されていることなど名古屋高裁の一部不審感を漂わせていました。
「裁判所次第で再審が長くかかる。証拠開示も裁判官が良ければ出してくれるし、そうでないと出さない」と、裁判官により「格差」が生じている問題を指摘、「裁判官まかせにするのはいけないというのが今回の再審法改正の考え。ぜひ袴田事件で盛り上がっているうちに改正したい」と述べました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
長くなりましたが、どの方の話も逃せない内容でした。
巖さんの半世紀にわたる冤罪の責め苦の精神的傷は未だに癒えることはありません。
再審無罪、その日が来たならば、巖さんは逃げ込んだ妄想の世界から脱出できるのか・・私たちは巖さんの闘いを必死に支えつつ、同時に巖さんや他の冤罪被害者が救われようのない闇を断つことを成し遂げなければなりません。
再審とは無辜の救済が目的。それを実質的に拒否している制度を歴史のごみ箱に捨てなければならない!
2024年03月28日
袴田再審 27日証人3人と弁護団記者会見
3日間の証人尋問を終え、弁護団は3人の証人と共に記者会見をしました。
ひで子姉さんは、「ひと山も、ふた山も、み山も越えた。長い裁判で皆さまの応援があったればこそ、ここまできました。清水先生らのご協力・・皆さん、ありがとう!」 心からの叫びのようでした。
はじめに、血痕の色問題担当・間弁護士が3日間の尋問について説明。
「3日間の証人尋問で、弁護側の(1年2ヶ月味噌漬された)血痕には赤みが残らないということは、疑いの余地がないことが立証されたと自信をもって言える」と述べ、それを可能にしたのは3人の先生方のお蔭であると謝意を表しました。
証人は最高裁から高裁への差し戻し審(再審請求審)でも証言、繰り返しになるものの、今回は公開の法廷だったことに意義を見出すことができると述べ、検察側証人・神田芳郎教授(久留米大)は抽象的可能性を指摘したにすぎず、結論に影響を及ぼすものではなく単なる揚げ足取りと断罪。一方、弁護側証人は、いずれも理路整然と「揚げ足取り」にも誠実に答えたと報告。
弁護側の証人、右から清水恵子教授、奥田勝博講師(共に旭川医大法医学講座)、
石森浩一郎教授(北海道大学副学長・理学部)
清水恵子氏は・・開口一番、「今回、全ては袴田巖さん、ひで子さんのために、そして日本の再審制度の新しい未来のためにと思って参加させていただいた」と述べ、論理的バックボーンとして尽力された北大の石森教授への感謝の意を表し、「最後は裁判官の叡智におまかせしたい。判決の日が待ち遠しい」とも。
検察証人主張については、(赤みが残る可能性がある)仮説なので、サイエンスとしては実証実験が必要なのにしていない。これは科学的反証とはいえないと批判。高裁再審開始決定内の血痕の色問題、検察実験についての判断(赤みが残っていない)について、神田教授らの意見書が批判している点については、「意味不明」と一蹴。
昨日の証人尋問で検察側を撃沈させた威風堂々でした。
奥田氏は・・「今回立証しなければいけなかったことは、専門家でなくても感覚的に「そうだろう」と思っている人が多いほど当たり前のことだった」しかし、その「当たり前」を専門用語をなるべく排して一般の人にわかるように科学的理論根拠をもって説明するのが難しかったこと、弁護人に何度も「わからない」と言われて書き直したことを明かし、自分が2~3年この裁判に関わって、それでも長いと思ったが、57年戦っているひで子さんは凄いと思ったと、ひで子姉さんを驚きをもって称えました。
石森氏は・・「最初、赤みが残らないというのは簡単な話だと思った。我々の世界では自明の事だが、裁判官や検察官にわかってもらうのが大変だった」と明かし、裁判官には理解していただいたと思うと述べました。
また、物理化学、タンパク質化学、タンパク質の酸化という分子論の話だから検察側もその専門家を用意して議論するのが本来のやり方なのに、検察側が法医学の人なので議論がかみ合わない、議論が成立しないと検察の不備を批判。
また、学問というのは直接人の役に立つことをしているわけではなく、今回のように直接人のために貢献できるとやりがいがあると語り、「ひで子さん、長い間大変だったと思います。これからも何かありましたら・・あ、ないと思いますが、われわれは協力しますので」と言い・・↓小川弁護士に注目・・
石森氏は、会場の笑いを誘いました。
そして、小川主任弁護人は、「裁判所が無罪判決を出してくれるという確証をもてた」と述べ、今後は裁判所に「無罪判決以上」、どこまで捜査機関の違法行為を認定するのか、袴田事件が冤罪となった要因をはっきり指摘するよう求めて行く決意を表明しました。
このあと、再審法実現本部の記者会見もありましたが、それは明日!
ひで子姉さんは、「ひと山も、ふた山も、み山も越えた。長い裁判で皆さまの応援があったればこそ、ここまできました。清水先生らのご協力・・皆さん、ありがとう!」 心からの叫びのようでした。
はじめに、血痕の色問題担当・間弁護士が3日間の尋問について説明。
「3日間の証人尋問で、弁護側の(1年2ヶ月味噌漬された)血痕には赤みが残らないということは、疑いの余地がないことが立証されたと自信をもって言える」と述べ、それを可能にしたのは3人の先生方のお蔭であると謝意を表しました。
証人は最高裁から高裁への差し戻し審(再審請求審)でも証言、繰り返しになるものの、今回は公開の法廷だったことに意義を見出すことができると述べ、検察側証人・神田芳郎教授(久留米大)は抽象的可能性を指摘したにすぎず、結論に影響を及ぼすものではなく単なる揚げ足取りと断罪。一方、弁護側証人は、いずれも理路整然と「揚げ足取り」にも誠実に答えたと報告。
弁護側の証人、右から清水恵子教授、奥田勝博講師(共に旭川医大法医学講座)、
石森浩一郎教授(北海道大学副学長・理学部)
清水恵子氏は・・開口一番、「今回、全ては袴田巖さん、ひで子さんのために、そして日本の再審制度の新しい未来のためにと思って参加させていただいた」と述べ、論理的バックボーンとして尽力された北大の石森教授への感謝の意を表し、「最後は裁判官の叡智におまかせしたい。判決の日が待ち遠しい」とも。
検察証人主張については、(赤みが残る可能性がある)仮説なので、サイエンスとしては実証実験が必要なのにしていない。これは科学的反証とはいえないと批判。高裁再審開始決定内の血痕の色問題、検察実験についての判断(赤みが残っていない)について、神田教授らの意見書が批判している点については、「意味不明」と一蹴。
昨日の証人尋問で検察側を撃沈させた威風堂々でした。
奥田氏は・・「今回立証しなければいけなかったことは、専門家でなくても感覚的に「そうだろう」と思っている人が多いほど当たり前のことだった」しかし、その「当たり前」を専門用語をなるべく排して一般の人にわかるように科学的理論根拠をもって説明するのが難しかったこと、弁護人に何度も「わからない」と言われて書き直したことを明かし、自分が2~3年この裁判に関わって、それでも長いと思ったが、57年戦っているひで子さんは凄いと思ったと、ひで子姉さんを驚きをもって称えました。
石森氏は・・「最初、赤みが残らないというのは簡単な話だと思った。我々の世界では自明の事だが、裁判官や検察官にわかってもらうのが大変だった」と明かし、裁判官には理解していただいたと思うと述べました。
また、物理化学、タンパク質化学、タンパク質の酸化という分子論の話だから検察側もその専門家を用意して議論するのが本来のやり方なのに、検察側が法医学の人なので議論がかみ合わない、議論が成立しないと検察の不備を批判。
また、学問というのは直接人の役に立つことをしているわけではなく、今回のように直接人のために貢献できるとやりがいがあると語り、「ひで子さん、長い間大変だったと思います。これからも何かありましたら・・あ、ないと思いますが、われわれは協力しますので」と言い・・↓小川弁護士に注目・・
石森氏は、会場の笑いを誘いました。
そして、小川主任弁護人は、「裁判所が無罪判決を出してくれるという確証をもてた」と述べ、今後は裁判所に「無罪判決以上」、どこまで捜査機関の違法行為を認定するのか、袴田事件が冤罪となった要因をはっきり指摘するよう求めて行く決意を表明しました。
このあと、再審法実現本部の記者会見もありましたが、それは明日!
2024年03月27日
再審法改正 村山浩昭元裁判官らが街頭宣伝
3月27日は、袴田巖さんが47年7ヶ月の投獄から解放された日です。
10年前の今日、静岡地裁で再審開始決定と同時に巖さんを開放した裁判長が、静岡地裁前と静岡市役所前で街頭宣伝に立ちました。
村山氏の訴えは気迫に満ちていました。
ここで再審法の改正を実現しなければ、「袴田さんの逮捕されてからの58年間は一体何だったのかということになります。ぜひとも私どもに力をお貸しください」
再審開始から10年も経過している現実への怒り、袴田事件を担当した当事者としての再審法改正実現への並々ならぬ思いが伝わってきました。
木谷明元裁判官の姿も。巖さんの1歳下という重鎮です。袴田家で巖さんと談笑されたことも。
現行の再審法では、「裁判所が何もやらないで逃げてしまえる」と批判。「何としても正さなければならないと思っている」と訴えを。
日弁連再審法改正実現本部が袴田事件の3連続公判最終日に合わせた実現のための「総力戦」を静岡で展開。
日弁連の小林元治会長↓
会長らは、このあと、川勝静岡県知事と難波静岡市長を訪問。
袴田事件の地、地方議会からの応援を訴えました。
10年前の今日、静岡地裁で再審開始決定と同時に巖さんを開放した裁判長が、静岡地裁前と静岡市役所前で街頭宣伝に立ちました。
村山氏の訴えは気迫に満ちていました。
ここで再審法の改正を実現しなければ、「袴田さんの逮捕されてからの58年間は一体何だったのかということになります。ぜひとも私どもに力をお貸しください」
再審開始から10年も経過している現実への怒り、袴田事件を担当した当事者としての再審法改正実現への並々ならぬ思いが伝わってきました。
木谷明元裁判官の姿も。巖さんの1歳下という重鎮です。袴田家で巖さんと談笑されたことも。
現行の再審法では、「裁判所が何もやらないで逃げてしまえる」と批判。「何としても正さなければならないと思っている」と訴えを。
日弁連再審法改正実現本部が袴田事件の3連続公判最終日に合わせた実現のための「総力戦」を静岡で展開。
日弁連の小林元治会長↓
会長らは、このあと、川勝静岡県知事と難波静岡市長を訪問。
袴田事件の地、地方議会からの応援を訴えました。
2024年03月26日
袴田再審 25日証人尋問・弁護団記者会見
最大の争点、1年以上みそ漬けされた衣類に付着した血痕に赤みが残るのかどうかの論争です。
25日、検察側証人・2人の法医学者の証人尋問後記者会見したひで子姉さんと弁護団。
(検察側証人は、池田典昭九州大学名誉教授と神田芳郎久留米大学教授)
証人尋問担当の間、笹森両弁護人は翌日の打ち合わせのため記者会見を欠席。
最初にマイクを握って感想を述べたひで子姉さん。
「テキパキするのかと思ったら・・曖昧で、何でこれが証人だいな?と思うようなところもございました」と、検察側証人への失望感もらし・・
明日の間弁護士や清水恵子証人らへの期待を述べました。
小川秀世主任弁護人
経過を報告した小川秀世主任弁護人は、開口一番「僕、聞き間違えかと思ったのですが」と、池田証人(検察側)に驚かされたことを述べました。
池田証人が、1年以上味噌の中に漬かっていたら血痕に赤みが残らない、法医学者の誰でもそう思うだろうと述べたというのです。
また、清水奥田鑑定(弁護側)に関しても書いてあることは間違いないが論理に飛躍があるという程度。
また、池田証人は血痕の色というけれど生地が白い、そのことのほうが重要ではないかと述べられたとのことで、小川弁護士は「非常に常識的なところで的確な判断をされた」と評価。ご自分が清水の出身で清水の味噌についても話され、それは苦しい説明かと思ったものの正直な先生との印象だった。こちらは反対尋問がいらないくらいで、逆に検察は真っ青になっているのではと笑みがこぼれました。
神田証人は、再審開始を決定した高裁評価を批判したものの「赤みが残る」とした共同鑑定書への弁護人質問には「わからない」と返答。
角替清美弁護人
次にマイクを握った角替清美弁護士は、神田証人を「まるで、料理をしもしないくせに妻の料理にケチをつける夫」と形容、実験を1度もせず、ZOOMで3回話しただけの共同鑑定書も含めて、痛烈に批判した。清水・奥田鑑定人は、検察からケチがつくたびに実験で証明している。
水野智幸弁護人
元裁判官の水野智幸弁護士は、科学者の尋問の弊害(前提により長引く)について触れた。そのうえで、池田証人は、結局弁護人の主張を裏付ける心証を残すと述べ、神田証人は結局のところ「わからない」というところに持ち込みたがっていると指摘。間弁護人が素晴らしい反対尋問を展開したので、わからないところは確かに残るものの清水・奥田鑑定の通り(赤みは残らない)だということに明日戻すことが大事と語りました。
また記者団からの質問、再審開始にした高裁決定を検察証人らが批判していることに関して・・
高裁決定が1年2ヶ月味噌漬された血痕に赤みが残ることはないとしているのは、科学的な見解をいっているのではなく、清水・奥田鑑定を前提としつつ袴田事件の全証拠と照らして法律家の決定としているので、何も痛手ではないと返答。
加藤英典弁護人
加藤英典弁護士は、検察が(赤みが残らないという主張がおかしいというなら)想定される当時の1号タンクの条件で実験し赤味が残ったというなら、それは我々の脅威になるが、そういう検証はないことを強調。
結局、検察側証人の証人尋問が、検察に有利になったとは到底思えない結果であったということでした。
今日26日、すでに弁護団の記者会見が終わっています。
また、様子をお知らせします。
清水恵子証人が、検察側証人主張を喝破したと聞いていますので、お楽しみに。
(今回の証人尋問、私は傍聴できなかったため、傍聴記は出せません・・)
25日、検察側証人・2人の法医学者の証人尋問後記者会見したひで子姉さんと弁護団。
(検察側証人は、池田典昭九州大学名誉教授と神田芳郎久留米大学教授)
証人尋問担当の間、笹森両弁護人は翌日の打ち合わせのため記者会見を欠席。
最初にマイクを握って感想を述べたひで子姉さん。
「テキパキするのかと思ったら・・曖昧で、何でこれが証人だいな?と思うようなところもございました」と、検察側証人への失望感もらし・・
明日の間弁護士や清水恵子証人らへの期待を述べました。
小川秀世主任弁護人
経過を報告した小川秀世主任弁護人は、開口一番「僕、聞き間違えかと思ったのですが」と、池田証人(検察側)に驚かされたことを述べました。
池田証人が、1年以上味噌の中に漬かっていたら血痕に赤みが残らない、法医学者の誰でもそう思うだろうと述べたというのです。
また、清水奥田鑑定(弁護側)に関しても書いてあることは間違いないが論理に飛躍があるという程度。
また、池田証人は血痕の色というけれど生地が白い、そのことのほうが重要ではないかと述べられたとのことで、小川弁護士は「非常に常識的なところで的確な判断をされた」と評価。ご自分が清水の出身で清水の味噌についても話され、それは苦しい説明かと思ったものの正直な先生との印象だった。こちらは反対尋問がいらないくらいで、逆に検察は真っ青になっているのではと笑みがこぼれました。
神田証人は、再審開始を決定した高裁評価を批判したものの「赤みが残る」とした共同鑑定書への弁護人質問には「わからない」と返答。
角替清美弁護人
次にマイクを握った角替清美弁護士は、神田証人を「まるで、料理をしもしないくせに妻の料理にケチをつける夫」と形容、実験を1度もせず、ZOOMで3回話しただけの共同鑑定書も含めて、痛烈に批判した。清水・奥田鑑定人は、検察からケチがつくたびに実験で証明している。
水野智幸弁護人
元裁判官の水野智幸弁護士は、科学者の尋問の弊害(前提により長引く)について触れた。そのうえで、池田証人は、結局弁護人の主張を裏付ける心証を残すと述べ、神田証人は結局のところ「わからない」というところに持ち込みたがっていると指摘。間弁護人が素晴らしい反対尋問を展開したので、わからないところは確かに残るものの清水・奥田鑑定の通り(赤みは残らない)だということに明日戻すことが大事と語りました。
また記者団からの質問、再審開始にした高裁決定を検察証人らが批判していることに関して・・
高裁決定が1年2ヶ月味噌漬された血痕に赤みが残ることはないとしているのは、科学的な見解をいっているのではなく、清水・奥田鑑定を前提としつつ袴田事件の全証拠と照らして法律家の決定としているので、何も痛手ではないと返答。
加藤英典弁護人
加藤英典弁護士は、検察が(赤みが残らないという主張がおかしいというなら)想定される当時の1号タンクの条件で実験し赤味が残ったというなら、それは我々の脅威になるが、そういう検証はないことを強調。
結局、検察側証人の証人尋問が、検察に有利になったとは到底思えない結果であったということでした。
今日26日、すでに弁護団の記者会見が終わっています。
また、様子をお知らせします。
清水恵子証人が、検察側証人主張を喝破したと聞いていますので、お楽しみに。
(今回の証人尋問、私は傍聴できなかったため、傍聴記は出せません・・)
2024年03月25日
袴田再審10回目公判 袴田ひで子さん、デイビット・T・ジョンソン先生と再会
世界が注目する「袴田事件」死刑冤罪再審・・
袴田再審の傍聴のためアメリカから駆けつけられたデイビット・T・ジョンソン先生。
ひで子姉さんと再会・・お互いに、「お元気でしたか」と言葉を交わし、ジョンソン先生はひで子姉が若々しいことに驚かれた様子。ひで子姉さんも「いえいえ」と言いながらうれしそう。
小川秀世主任弁護人もジョンソン先生の訪問に感激され、ご夫妻と記念撮影。
ですが・・ジョンソン先生は、傍聴の選に漏れたとのことでした。
残念も過ぎる・・。
デイビット・T・ジョンソン先生は、日本でも言論活動を展開するハワイ大学教授。
著書に、『アメリカ人のみた日本の死刑』、『検察審査会 日本の刑事司法を変えるか』(共著)、『孤立する日本の死刑』ほか。
袴田再審の傍聴のためアメリカから駆けつけられたデイビット・T・ジョンソン先生。
ひで子姉さんと再会・・お互いに、「お元気でしたか」と言葉を交わし、ジョンソン先生はひで子姉が若々しいことに驚かれた様子。ひで子姉さんも「いえいえ」と言いながらうれしそう。
小川秀世主任弁護人もジョンソン先生の訪問に感激され、ご夫妻と記念撮影。
ですが・・ジョンソン先生は、傍聴の選に漏れたとのことでした。
残念も過ぎる・・。
デイビット・T・ジョンソン先生は、日本でも言論活動を展開するハワイ大学教授。
著書に、『アメリカ人のみた日本の死刑』、『検察審査会 日本の刑事司法を変えるか』(共著)、『孤立する日本の死刑』ほか。
2024年03月23日
袴田再審 証人尋問・25日から27日連続公判
25日月曜日から、証人尋問が3日連続で行われます。
事件から1年2ヶ月後に味噌タンクから発見された「5点の衣類」
犯行時に袴田さんが着ていたと検察が主張するこの「5点の衣類」
大量の血が付着していたが、その血痕は誰が見ても赤みが残っていた。
(赤かった!)
最大の争点、1年2ヶ月も味噌に漬かっていた血痕に赤みが残るのかをめぐって証人尋問が続きます。
「残る場合がある」と主張する検察側の証人尋問が25日。
「残らない」主張の弁護側証人尋問が26日。
双方の証人への、裁判所、検察官、弁護人の尋問が27日。
ぜひ、傍聴におでかけください。
27日昼は、日弁連が再審法改正に向けた学習会を開きます。
傍聴に外れても、この学習会に参加できます。
村山浩昭元裁判長もお見えになると聞いています。
傍聴に外れても、さらに支援者主催の学習会もあり有意義な時間を過ごせます。
お見逃しなく!
事件から1年2ヶ月後に味噌タンクから発見された「5点の衣類」
犯行時に袴田さんが着ていたと検察が主張するこの「5点の衣類」
大量の血が付着していたが、その血痕は誰が見ても赤みが残っていた。
(赤かった!)
最大の争点、1年2ヶ月も味噌に漬かっていた血痕に赤みが残るのかをめぐって証人尋問が続きます。
「残る場合がある」と主張する検察側の証人尋問が25日。
「残らない」主張の弁護側証人尋問が26日。
双方の証人への、裁判所、検察官、弁護人の尋問が27日。
ぜひ、傍聴におでかけください。
27日昼は、日弁連が再審法改正に向けた学習会を開きます。
傍聴に外れても、この学習会に参加できます。
村山浩昭元裁判長もお見えになると聞いています。
傍聴に外れても、さらに支援者主催の学習会もあり有意義な時間を過ごせます。
お見逃しなく!
2024年03月20日
袴田巖さん日記 殿のつぶやき 猫への土産
なんでも、前回の続きがどうなったか、知りたがってる輩がいるという。
それなら明かそう。これだ。
イワは、ティッシュを敷いて2つ出してくれた。ご丁寧だ。
ルビー姉御は困惑の様相だ。彼女は食に関しては臆病だ。箱入り娘だったことを鼻にかけるが、箱入りになるとカリカリしか食さないのか?野良様の過去を誇る吾輩にはわからぬ。
吾輩は驚きはしない。
むしろイワに珍重されていることを喜びたい。ストレッチしながらで失敬する。
イワが饅頭をわれらに差し出すのは初めてではない。
メロンクリームソーダだってすすめてくれた。
いつも吾輩とルビー姉御が飢えることのないよう気遣ってくれている。
イワは自分の好物を、新入り家族のルビーと吾輩にも食べさせてやりたいと思うようだ。
イワの恩情を思うと涙がでるではないか。
「イワオが猫にお菓子やってくれ、やってくれっていうのよ。腹減ってるんだからってってさ。夜中もうるさくてしょうがない」
デコは、そのような悪態をつく。しかし、その顔は嬉しそうだ。
この家のイワは常人ではないとみた。
いつも沈思黙考している。
吾輩は、これからイワを観察していくことに決めた。
折を見て膝にも乗ってやろう。
それなら明かそう。これだ。
イワは、ティッシュを敷いて2つ出してくれた。ご丁寧だ。
ルビー姉御は困惑の様相だ。彼女は食に関しては臆病だ。箱入り娘だったことを鼻にかけるが、箱入りになるとカリカリしか食さないのか?野良様の過去を誇る吾輩にはわからぬ。
吾輩は驚きはしない。
むしろイワに珍重されていることを喜びたい。ストレッチしながらで失敬する。
イワが饅頭をわれらに差し出すのは初めてではない。
メロンクリームソーダだってすすめてくれた。
いつも吾輩とルビー姉御が飢えることのないよう気遣ってくれている。
イワは自分の好物を、新入り家族のルビーと吾輩にも食べさせてやりたいと思うようだ。
イワの恩情を思うと涙がでるではないか。
「イワオが猫にお菓子やってくれ、やってくれっていうのよ。腹減ってるんだからってってさ。夜中もうるさくてしょうがない」
デコは、そのような悪態をつく。しかし、その顔は嬉しそうだ。
この家のイワは常人ではないとみた。
いつも沈思黙考している。
吾輩は、これからイワを観察していくことに決めた。
折を見て膝にも乗ってやろう。
2024年03月19日
袴田巖さん日記 殿のつぶやき
吾輩は猫である。名前はもうある。殿(との)である。
どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬが、何やら威勢のいいバアサマと物言わぬジイサマの家にルビー姉御と一緒に連れてこられて1ヶ月余。バアサマは「ひで子さん」、ジイサマは「イワオさん」と呼ばれているようだ。
吾輩は、「デコ」と「イワ」と呼ぶことにする。
毎日、やたら大きな声で吾輩を呼ぶ輩が入れ替わり立ち替わり現れる。
どうも、イワが出かける時の供の者のようだ。
この輩、決まって言うのが「殿ちゃんどこ~?」
挙げ句、吾輩が隠れている毛布をめくるという暴挙にでる乱暴者もいる。
何が、「キャー可愛い」だっちゅーの。吾輩は見世物ではない。
人間というのは全くデリカシーに欠ける生き物だ。その自覚に欠けるから始末に負えない。
この前など、ドサドサドサ、大勢が押しかけ騒ぐ事件もあった。
吾輩は、慎重に慎重を重ねて身を隠しながら様子をうかがっていた。
「カワイイ」などと言われて有頂天のルビー姉御、平気で出て行くが、吾輩はこんな時に身を晒すほど阿呆ではない。
逃げられないからここにいるしかない・・そうこうするうちに6週間が過ぎた。
どうも吾輩は無事である。ここにいてこの身に危害が及ぶことはなさそうだ。
もう隠れるのも疲れた。白状すると、吾輩は撫でてもらいたい猫である。
この家のボスはデコだろう・・寡黙なイワではないとみた。すり寄っておこう。
「どうしたの?」だって。撫でてくれた返礼に吾輩はデコの顔を舐めた。
「アハハハハ」 デコ喜ぶ。喜ぶなら、耳だって舐めてやる。
そうこうしているうちに吾輩とデコは仲良しになってきた。
時々は遊んでもやろう。麻雀ゲームも飽きるだろう。
あ、寡黙イワが帰ってきた。
吾輩とルビー姉御に毎日土産を買ってきてくれる。吾輩がこの世で1番好きなのはチュールだ。次にゼリー状の魚。
イワは2度ばかりチュールを買って来てくれた。が、その後は、鉄火巻だの助六寿司だのハンペン、竹輪と続いている。イワが若い時代の猫は知らんが、吾輩世代はキャットフードだ。
今日、見かねたこの家の女中がイワに言ってくれた。
「ね~イワオさん、この猫ちゃんたちはさ、これ(チュール見せて)がほしいんだって。これが大好きなんだって。今日出かけたらさ、これ買ってきてくださいな。巖さんがいつも歯磨き買う店で売ってるから」
するとイワは、「あ、そう。買ってくる」と確かに言った。
吾輩は期待している。
どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬが、何やら威勢のいいバアサマと物言わぬジイサマの家にルビー姉御と一緒に連れてこられて1ヶ月余。バアサマは「ひで子さん」、ジイサマは「イワオさん」と呼ばれているようだ。
吾輩は、「デコ」と「イワ」と呼ぶことにする。
毎日、やたら大きな声で吾輩を呼ぶ輩が入れ替わり立ち替わり現れる。
どうも、イワが出かける時の供の者のようだ。
この輩、決まって言うのが「殿ちゃんどこ~?」
挙げ句、吾輩が隠れている毛布をめくるという暴挙にでる乱暴者もいる。
何が、「キャー可愛い」だっちゅーの。吾輩は見世物ではない。
人間というのは全くデリカシーに欠ける生き物だ。その自覚に欠けるから始末に負えない。
この前など、ドサドサドサ、大勢が押しかけ騒ぐ事件もあった。
吾輩は、慎重に慎重を重ねて身を隠しながら様子をうかがっていた。
「カワイイ」などと言われて有頂天のルビー姉御、平気で出て行くが、吾輩はこんな時に身を晒すほど阿呆ではない。
逃げられないからここにいるしかない・・そうこうするうちに6週間が過ぎた。
どうも吾輩は無事である。ここにいてこの身に危害が及ぶことはなさそうだ。
もう隠れるのも疲れた。白状すると、吾輩は撫でてもらいたい猫である。
この家のボスはデコだろう・・寡黙なイワではないとみた。すり寄っておこう。
「どうしたの?」だって。撫でてくれた返礼に吾輩はデコの顔を舐めた。
「アハハハハ」 デコ喜ぶ。喜ぶなら、耳だって舐めてやる。
そうこうしているうちに吾輩とデコは仲良しになってきた。
時々は遊んでもやろう。麻雀ゲームも飽きるだろう。
あ、寡黙イワが帰ってきた。
吾輩とルビー姉御に毎日土産を買ってきてくれる。吾輩がこの世で1番好きなのはチュールだ。次にゼリー状の魚。
イワは2度ばかりチュールを買って来てくれた。が、その後は、鉄火巻だの助六寿司だのハンペン、竹輪と続いている。イワが若い時代の猫は知らんが、吾輩世代はキャットフードだ。
今日、見かねたこの家の女中がイワに言ってくれた。
「ね~イワオさん、この猫ちゃんたちはさ、これ(チュール見せて)がほしいんだって。これが大好きなんだって。今日出かけたらさ、これ買ってきてくださいな。巖さんがいつも歯磨き買う店で売ってるから」
するとイワは、「あ、そう。買ってくる」と確かに言った。
吾輩は期待している。
2024年03月17日
第76回「袴田事件がわかる会」小川秀世主任弁護人を迎えて 速報
会場入りした小川秀世弁護士とひで子姉さん
トップバッターのひで子姉さん・・
「巖は無実だから、私は絶対無罪だと思っている」 会場からは拍手「私ひとりでは何もできない・・ここまでこれたのは全国、ひいては世界から応援してくださった皆様のお蔭」と感謝の気持ちを、さらに巖さんの様子、飼い猫を可愛がっていることなど述べました。
そして、ゲストの小川秀世主任弁護人の登場・・全身から火を噴くが如し!でした。
一部レジメを紹介しますと・・
ご参加のみなさんはまるで全身が耳になったよう一言も聞き漏らすまいとするかのようでした。
「予習してきたんですけど・・」という初参加20才の姿も
アンケートを1つ紹介(東京からご参加の女性)・・
「冤罪が作り出されるメカニズムについて深堀した話が聞けてよかった。今更ですが、事件の内容を知れば知るほどおかしなことばかり、不自然なことだらけで、巖さんの無罪、無実はわかりきったことなのに、いまだに検察官が抗い続けている姿勢には大変疑問を感じます」
今日の小川先生ご講演は、You Tube袴田チャンネルにアップいたします。
少しお待ち下さい。
みなさま、おつかれさまでした!
トップバッターのひで子姉さん・・
「巖は無実だから、私は絶対無罪だと思っている」 会場からは拍手「私ひとりでは何もできない・・ここまでこれたのは全国、ひいては世界から応援してくださった皆様のお蔭」と感謝の気持ちを、さらに巖さんの様子、飼い猫を可愛がっていることなど述べました。
そして、ゲストの小川秀世主任弁護人の登場・・全身から火を噴くが如し!でした。
一部レジメを紹介しますと・・
ご参加のみなさんはまるで全身が耳になったよう一言も聞き漏らすまいとするかのようでした。
「予習してきたんですけど・・」という初参加20才の姿も
アンケートを1つ紹介(東京からご参加の女性)・・
「冤罪が作り出されるメカニズムについて深堀した話が聞けてよかった。今更ですが、事件の内容を知れば知るほどおかしなことばかり、不自然なことだらけで、巖さんの無罪、無実はわかりきったことなのに、いまだに検察官が抗い続けている姿勢には大変疑問を感じます」
今日の小川先生ご講演は、You Tube袴田チャンネルにアップいたします。
少しお待ち下さい。
みなさま、おつかれさまでした!
2024年03月15日
第76回「袴田事件がわかる会」は17日(日)です!
みなさま、今月の「袴田事件がわかる会」は日曜日です!
毎月土曜日開催としてきましたが、会場が特別イベントで使えないため日曜日に変更しました。
今月は、袴田事件弁護団を率いる小川秀世弁護士がゲストです。お見逃しなく!
毎月土曜日開催としてきましたが、会場が特別イベントで使えないため日曜日に変更しました。
今月は、袴田事件弁護団を率いる小川秀世弁護士がゲストです。お見逃しなく!