2023年01月30日
袴田巖さん日記 幻の「袴田御所」「袴田ジム」を探して
私の見守り当番でした。
車に乗ると、「赤佐(アカザ)ね、赤佐の大仏殿、袴田巖の御所があるところ」と、巖さん。
赤佐は、巖さんが通った小学校があるところ。
それなら赤佐幼稚の隣・於呂神社に行こう!大仏殿や御所はないけど
出発して・・「堤防を行きましょうか」とお聞きすると、「ああ、堤防ね、いいですよ」で、天竜川堤防へ。
堤防は、実に見晴らしよく気持ちがいいです。
山々の様子が変わっていました。
「イワオさん、遠くの山が白いですよ。雪かぶっているんですね。ほら、昨日は巖さんも雪降るの見ましたね」
「あー、雪ね。降った」
左手に牧場や乗馬クラブが見えてきます。
「イワオさん、馬、馬!見えます?」
「・・・見えた」
ポツポツと話のタネが出てきて楽しい堤防走行ですが、後続車がいるため途中停車やのんびり走行ができないのがチョット残念。
於呂神社へ到着~。
巖さんはすぐに神社内に入らず歩き出されたのでどこへ行くのかと思ったら、正面に廻って鳥居をくぐって入られたのでした。駐車したところから鳥居は見えないので驚きました。前に一度だけ来た時の記憶が明瞭で。
正面鳥居くぐって参道歩く巖さん。
参拝して、帰路に。
すこし走ると・・
「柴本に寄ってちょうだい。ジム見てくから」
「柴本駅に行けばいいですか?」
「駅ね。袴田ジムがあるから。見てかにゃ、ちゃんとやってるか」
・・・絶句。巖さんは60年以上前の話をしている。プロになる上京前、浜北の柴本駅前でボクシングを教えていたと聞いてはいましたが。
遠鉄柴本駅にお連れし、柴本駅はここですと私が言っても、「こんなとこじゃない」と巖さん。道路から見えるホームの標識を見て頂き、「見えますか?芝本って書いてありますね」と言い、駐車場の「柴本駅」という標識を指すと、「ここがか?」と明らかに困惑する巖さん。
私は切なくなりました。巖さんは長すぎる投獄で「浦島太郎」になっているのです。
全てを賭けて打ち込んだの青春の輝き、それが存在しないという残酷。
「今日はもう遅いから、今度またゆっくり探しにきましょうか」と言って車を出しました。
巖さんの目は、「妄想に入っている目」でした。えん罪の罪深さよ・・。
巖さんは、帰りの車中で、ずっと独り事・・というか誰かと話しているふう。
つまり妄想の世界に。
自宅駐車場に戻ると、「はい、どうもご苦労様でした」と巖さんに言われ、少しホッとしました。
さらに、帰ろうとする私を「ちょっと待て」と呼び止め、「やってなかったな」と、千円くださいました。
(千円はチップのつもり。ひで子姉さんに返金)
他人に気配りされる余裕が出たことに、また少し安堵。
巖さんは妄想と現実のギャップに大混乱続きのことでしょう。
そんなことを考える同行でした。
車に乗ると、「赤佐(アカザ)ね、赤佐の大仏殿、袴田巖の御所があるところ」と、巖さん。
赤佐は、巖さんが通った小学校があるところ。
それなら赤佐幼稚の隣・於呂神社に行こう!大仏殿や御所はないけど
出発して・・「堤防を行きましょうか」とお聞きすると、「ああ、堤防ね、いいですよ」で、天竜川堤防へ。
堤防は、実に見晴らしよく気持ちがいいです。
山々の様子が変わっていました。
「イワオさん、遠くの山が白いですよ。雪かぶっているんですね。ほら、昨日は巖さんも雪降るの見ましたね」
「あー、雪ね。降った」
左手に牧場や乗馬クラブが見えてきます。
「イワオさん、馬、馬!見えます?」
「・・・見えた」
ポツポツと話のタネが出てきて楽しい堤防走行ですが、後続車がいるため途中停車やのんびり走行ができないのがチョット残念。
於呂神社へ到着~。
巖さんはすぐに神社内に入らず歩き出されたのでどこへ行くのかと思ったら、正面に廻って鳥居をくぐって入られたのでした。駐車したところから鳥居は見えないので驚きました。前に一度だけ来た時の記憶が明瞭で。
正面鳥居くぐって参道歩く巖さん。
参拝して、帰路に。
すこし走ると・・
「柴本に寄ってちょうだい。ジム見てくから」
「柴本駅に行けばいいですか?」
「駅ね。袴田ジムがあるから。見てかにゃ、ちゃんとやってるか」
・・・絶句。巖さんは60年以上前の話をしている。プロになる上京前、浜北の柴本駅前でボクシングを教えていたと聞いてはいましたが。
遠鉄柴本駅にお連れし、柴本駅はここですと私が言っても、「こんなとこじゃない」と巖さん。道路から見えるホームの標識を見て頂き、「見えますか?芝本って書いてありますね」と言い、駐車場の「柴本駅」という標識を指すと、「ここがか?」と明らかに困惑する巖さん。
私は切なくなりました。巖さんは長すぎる投獄で「浦島太郎」になっているのです。
全てを賭けて打ち込んだの青春の輝き、それが存在しないという残酷。
「今日はもう遅いから、今度またゆっくり探しにきましょうか」と言って車を出しました。
巖さんの目は、「妄想に入っている目」でした。えん罪の罪深さよ・・。
巖さんは、帰りの車中で、ずっと独り事・・というか誰かと話しているふう。
つまり妄想の世界に。
自宅駐車場に戻ると、「はい、どうもご苦労様でした」と巖さんに言われ、少しホッとしました。
さらに、帰ろうとする私を「ちょっと待て」と呼び止め、「やってなかったな」と、千円くださいました。
(千円はチップのつもり。ひで子姉さんに返金)
他人に気配りされる余裕が出たことに、また少し安堵。
巖さんは妄想と現実のギャップに大混乱続きのことでしょう。
そんなことを考える同行でした。
Posted by 袴田家物語 at 23:00│Comments(2)
│無実の死刑囚 袴田巌さんとともに
この記事へのコメント
ブログを拝見させて戴いていて、大手新聞社が「袴田事件」を大々的に取り上げているのが分かり、嬉しいです。しかし、私が住んでいる関西では、大手新聞社の記事で「袴田事件」に関する記事をほとんど目にしません。おそらく、地域限定記事なのでしょう。全国版に「袴田事件」を掲載するのが本来の筋ではないでしょうか。名前を挙げれませんが、「リベラル」を象徴する大手新聞社は、「どうでも良い」と思えてならない記事を「袴田事件」より最優先している気がしてならないのです。また、その新聞社に投稿される「良識的市民」と呼ばれる方々あるいは自分を「知識人」を自認する方々の投書を、私は毎日チェックしているのですが、「袴田事件」に言及したものは一切ないです。「良識的市民」と「知識人」を自認する方々の「袴田事件」への無関心さに、私は腹が立って仕方ありません。
Posted by 堂山晋太郎 at 2023年02月01日 17:13
堂山晋太郎さま
巖さんのいる静岡県内では新聞やテレビ報道が頻繁で、それがヤフーニュースに出たりします。が、全国的にはなかなかで残念です。
共同通信が、「姉と弟 袴田巌さん無罪への闘い」というタイトルの長い連載を配信しています。それを、多くの新聞社が報道してほしいと願っています。
関西でも、どこかの新聞社で載せてほしいですね・・。
いつもコメントをありがとうございます。
巖さんのいる静岡県内では新聞やテレビ報道が頻繁で、それがヤフーニュースに出たりします。が、全国的にはなかなかで残念です。
共同通信が、「姉と弟 袴田巌さん無罪への闘い」というタイトルの長い連載を配信しています。それを、多くの新聞社が報道してほしいと願っています。
関西でも、どこかの新聞社で載せてほしいですね・・。
いつもコメントをありがとうございます。
Posted by キッチンガーデン at 2023年02月02日 22:21